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================================================ No.021 2000/09/13 ===
W E B D E S I G N E R S M A G A Z I N E G A U Z I N E
[COVER] http://www.gaucho.com/gauzine/gallery/200913.html
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配信部数:5,910部
『GAUZINE』 No.021 のラインナップ
┃
┣『映像作家研究ファイル』「ポール・トーマス・アンダーソン」
┣『CREATORS INTERVIEW』「Tatsuya OKA」
┗『GREAT WEB CREATORS』「Juxt Interactive」
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『映像作家研究ファイル』
WEB制作者のための映像制作入門/鑑賞編 vol.9
「感情の表出〜ポール・トーマス・アンダーソン」
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『映像作家研究ファイル』は、WEB制作において今後増えていくことが予想さ
れる Flashムービーやストリーミングビデオなどの「動画・映像コンテンツ制
作」のヒントになるものを模索・研究していこうという主旨の企画です。
■ 若き巨匠〜ポール・トーマス・アンダーソン
今回は、20代で発表した3作品「ハードエイト」「ブギーナイツ」「マグノリ
ア」で、すでに「若き巨匠」の称号を与えられるほどの円熟した技術と表現力
を見せつけ世界中の映画人を驚かせた「ポール・トーマス・アンダーソン」を
ご紹介致します。
◆ ポール・トーマス・アンダーソンの作品
┗ http://us.imdb.com/Name?Anderson,+Paul+Thomas
ポール・トーマス・アンダーソンは、1970年1月1日生まれで、今年でまだ30歳
の映画監督、脚本家です。これまで公開された長編作品は、
「ハードエイト」(1996年)
「ブギーナイツ」(1997年)
「マグノリア」(1999年)
長編デビュー作は「ハードエイト」(劇場未公開)は、借り物のカメラで撮
影された短編作品「Cigarettes and Coffee」がもとになった作品ですが、
アメリカ公開当時まだごく一部の批評家に注目を集める程度で、日本でも
あまり知られてなかったはずです。
わたし自身ポール・トーマス・アンダーソンの名前をはじめて知ったのは、
「ブギーナイツ」がアメリカで評判になっているという記事を雑誌で読んだ
1998年ごろでしょうか。
「ブギーナイツ」がビデオ化されても、すぐには鑑賞することなく時間が経過
しましたが、いろいろな雑誌で「ブギーナイツ」が絶賛されてるのを見るにつ
け、ようやくビデオを借りて観たところ、その大胆な映像テクニックとともに、
人間ドラマとしての完成度の高さに、正直ちょっと驚いてしまいました。
若干27歳の映画監督がこんなにも深みのある人間ドラマを創ってしまうという
点でも…。
ポルノ映画業界という、ちょっと引いてしまいそうな題材にもかかわらず、そ
こに描かれているのは、ひとりの青年の栄光と挫折の人間ドラマであると同時
に彼をとりまくファミリーの映画でもあった。「ゴッドファーザー」がマフィ
アのファミリーを描いた作品なら、「ブギーナイツ」はまさにポルノ映画業界
のファミリーを描いた作品であり、そこには血はつながっていないが、本当の
家族以上に堅い絆で結ばれた疑似家族が見事に存在していた。
もちろん、そればかりでなく登場する個性的なキャラクターのさまざまな群像
劇をちりばめながら、ありとあらゆる撮影テクニックと高度な編集技術を駆使
した映画ファンを唸らせる秀作であった。
┗ http://cinema.pov.co.jp/feature058/058a.html
つづく、「マグノリア」は「ブギーナイツ」での群像劇をさらに複雑にした、
3時間を越える大作として発表された。「ブギーナイツ」でさえ、2時間35分と
いう一般的にはかなり長い作品であったわけだが、それを越える3時間7分とい
う長さは、内容に関してかなりの自信がある証拠だと思う。
実際、「マグノリア」はアカデミー賞3部門にノミネートされ、ベルリン映画祭
「金熊賞」(グランプリ)を獲得する秀作として高く評価された。
┗ http://www.latigid.com/magnolia/award.html
■ エモーショナルな映像表現〜感情の表出
◆ 絶妙のリミックス感覚
ポール・トーマス・アンダーソンの作品には、これまでの映画のさまざまな要
素が詰め込まれている感じがします。本人もインタビューで、「過去のあらゆ
る映画よりヒントを得ている」と語ってるよう、特にマーチン・スコセッシ
(「グッドフェローズ」)とロバート・アルトマン(「ショートカッツ」)の
影響は大きいようです。
例えるならば、アルトマンの「群像劇スタイル」をスコセッシのような「エ
モーショナルな表現」で描き、タランティーノの「音楽センス」と、
コーエン兄弟の「笑いのセンス」をちりばめたような作風、とでもいいまし
ょうか。しかし、それらが決して単なる部分的な「模倣」におわらず、アン
ダーソン流に見事に融合され完成している点がすごい才能とセンスの持ち主
だと評価されるわけです。
◆ テクニックよりも脚本が重要
スタイルやテクニックなど技術的な面では、過去の数々の名作にオマージュを
捧げながらも、ストーリーに独創性があるのは、これまでの全作品、すべて
ポール・トーマス・アンダーソン自身のオリジナル脚本であるからです。
アンダーソン自身も「テクニックよりも脚本が重要である」と語っているよう、
撮影や編集などの技術は、あくまで脚本で描かれている人物の感情を効果的に
伝えるための手段であり、もっとも重要なのはきっと「脚本にどんな感情が
描かれているか」ということなのでしょう。
登場人物のキャラクターや状況設定、プロットの進ませ方、そしてストーリー
の背景にあるメッセージ、それが何であるかが作品の肝になっていくんだと思
います。
◆ 緻密に計算された作品構造
「ブギーナイツ」は、1977年から1983年の6年間の時代を描いていますが、
1980年を迎える大晦日パティーを境にした対比的構造になっています。
つまり、1977〜79年までが「栄光」、1980〜83年が「挫折」の時代のように、
主人公とまわりの登場人物の「明暗」をくっきりと描き分けています。
それまで華々しく明るいドラマが、一転して重く痛々してほどの悲しいドラマ
に変わっていくわけですから、観てる観客の感情の振幅も大きいわけです。そ
して、ラストではその「挫折」から這い上がっていく明るい未来を少しだけ提
示して物語は終わります。
「マグノリア」に至っては、さらに複雑な作品構造をもっており、ことばでそ
の構造を説明するのはかなりむずかしいです。なにせ、12人のキャラクターに
よる別々の9つのストーリーが並行して進んでいくわけですから、観客もホント
気合いをいれて観ていないと、一体どの話がどうなっているのか頭の整理がつ
かなくなりそうな感じです。「群像劇」なので、トム・クルーズでさえ主役で
はなく、あくまで「登場人物のひとり」という設定で役を演じきっているのも
興味深いところです。
「群像劇」というスタイルで、いくつかのエピソードが少しづつ進行していく
わけですが、どのエピソードもそれぞれおもしろくできており、決して観客を
離すことなくに引きつけておく魅力があるからこそ成立する作品構造なのだと
思います。そして、それぞれのエピソードが、ある事件に向かって集約されて
いくプロセスが、複雑怪奇に交錯して描かれていくわけです。
登場人物は最初一見無関係のように見えるわけですが、実は細かなところで
縁や関係がつながっており、それらの糸がだんだん複雑にからみあっていく
様子も見どころのひとつになってます。そして、「偶然の一致」や「人間の
運命」など人生で起こりうるあらゆる出来事が象徴的に終結していく様子は、
まさにエキサイティングです。
◆色彩と陰影のコントロール
「マグノリア」のプロダクション・デザイナーと撮影監督の話によると、
「マグノリア」では、色彩と陰影をコントロールすることによって、登場人物
の心情の変化や問題の深まりを視覚的に表現していったとのこと。
基本的にはコントラストを多用した色彩設計により、テレビの冷たいブルーや
家具の木の温かみなどを対比的に描いているわけだが、後半になるに従って
それらの質感をさらに強調していき、問題の深刻さと対比させたとのこと。
衣装に関しても、登場人物のキャラクターに合わせて「自分をカモフラージュ
している」ような外見と内面とのギャップを強調したものを選んでいたり
します。
そういった部分でのさまざまな工夫が登場人物の「感情の表出」に同調し、
作品全体にさらに奥行きを加えていっているわけです。
◆「長回し」の意図
アンダーソン作品の特徴として、ワンショットをひじょうに長く撮影する「長
回し」があります。「ブギーナイツ」のラスト近くの麻薬取引の場面で、セリ
フのない主人公の表情のアップを延々45秒間回しているシーンがあります。し
かし、その主人公のうつろな表情からは、悲しみ、混乱そして虚無感あふれる
なんともいえない心情が切々と伝わってきます。
このシーンに関して、アンダーソンはこう語っている。
「あのシーンをカットしようというヤツがいたけど、今でも開いた口がふさが
らないね。」あの静止して45秒のショットにはそれだけの深い意味がこめられ
ていたからです。
他にも、1980年を迎える大晦日パティーのシーンで自分の妻の不貞を目撃した男
(ウイリアム・H・メイシー)が車までピストルをとりにいって射殺するまでの
シーンも、延々とその男の姿をカメラが追うという印象的な「長回し」を見せ
ています。華やかなパーティー会場のまさに真只中で起こらんとしている突然
の悲劇をその男の悲痛な表情とともに描いた強烈なシーンでした。
「長回し」に関しては、アンダーソンは、
「長く撮影することによって、その場面のエネルギーやダイナミックさを閉じ
込めることができるし、俳優に最高の演技を引き出すこともできる」
と語っているよう、長回しによって「エモーショナルな表現」が引き出され
ているよう感じます。
「長回し」が多いがゆえに、結局作品の時間自体も長くなってしまっているん
でしょうけど、それに関してアンダーソンはこう語っています。
「マグノリアはもっと短いほうがよりヒットするだろう。でも、よりいい映画
にはならない。」と…。まさに、3時間7分という時間が「マグノリア」という
作品にとっての「最適な長さ」だったのでしょうね。
もうひとつ冗談まじりのコメントをひとつ加えると、
「僕の映画の唯一の欠点は時間が長いことかも。(笑)」
「生意気な天才」とも呼ばれるアンダーソンらしいコメントです。
◆ 技術と表現力のバランス
「若き巨匠」とか、「生意気な天才」とか、いろいろ名誉ある称号をもらって
いるポール・トーマス・アンダーソンですが、いくつかその作品を観れば、そ
れもうなづけるかと思います。最近になって、ようやくデビュー作の「ハード
エイト」をビデオで観たのですが、これまたハードボイルドタッチの渋〜い作
品でした。
アンダーソン作品常連のフィリップ・ベイカー・ホールから、ジョン・C・ライ
リー、そしてまさに今ごく一部の熱狂的なファンの間でブレイク中の愛すべき
変態脇役フィリップ・シーモア・ホフマン(「ハピネス」のイタ電男)も
チラッと顔をみせてくれています。あと、"オスカー"女優や"スターウォーズ"
黒人名俳優とかも登場してたりします。
┗ http://www.sme.co.jp/Movie/rental/HARD_EIGHT/
#フィリップ・シーモア・ホフマン
┗ http://ha5.seikyou.ne.jp/home/tachivana/h0199.html
(最新作「フローレス」ではデ・ニーロと共演)
そんな劇場未公開だった幻の処女作「ハードエイト」がなんと9月に東京地区で
特別上映されるそうです。多分、これが最初で最後の劇場上映ともいわれてます。
ラストショットがたまらなく渋くてカッコいいです。
#尚、DVDも10/27発売とのこと。
とにかくアンダーソンの作品には、観客の感情をゆさぶる強い力があります。
そこには、すぐれた脚本をベースにした撮影・編集などの高度な技術力と表現
力が融合した「エモーショナルな映像表現」が存在し、観客の心に訴えかけて
くるキャラクターの「感情の表出」があります。そんな技術と表現力の絶妙な
バランスが、アンダーソン作品の魅力のひとつになっていることは間違いない
でしょう。
★ 関連サイト
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◆「ハードエイト」
┗ http://www.sme.co.jp/Movie/rental/HARD_EIGHT/
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◆「ブギーナイツ」
┣ http://cinema.pov.co.jp/feature058/058a.html
┗ http://www.sankei.co.jp/mov/db/98d/boogie_nights_1.html
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◆「マグノリア」
┗ http://www.magnoliamovie.com/japan/
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★ ビデオ化情報
「ハードエイト」「ブギーナイツ」 については、現在ビデオで鑑賞できるの
ですが、「マグノリア」に関してはまだビデオ化されていません。先月の雑誌
の情報では9月中にビデオが発売される予定だったのですが、どうも延期にな
ったようです。遅くても年内にはビデオ・DVDとして発売されると思いますので、
「マグノリア」をまだご覧になってない方はもう少しお待ちいただければ鑑賞
できるかと思います。(#って、別に言い訳しなくてもいいんですけどね…。)
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『CREATORS INTERVIEW』
WEB制作に関わるクリエイターの方々へのインタビュー
「Tatsuya OKA」http://www.exprime.co.jp/
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◆「CREATORS INTERVIEW #009〜Tatsuya OKA」
第9回目のゲストは、exprimeのデザイナーである岡 達也さんです。
exprime(エクスプリム)はあらゆるメディアの企画、デザインからコンサル
ティングまで広範囲のプロジェクトを手掛ける企画・制作会社ですが、岡さん
はデザイン部門の中心的存在として活躍されています。また、デザイン関連雑
誌等の執筆や、パリでの個展や国内でのグループ展などアーティストとしても
数々の作品を発表されています。
今回は、そんな岡さんに、いろいろお話をお伺いしました。
#以下、[gaucho] はわたくし、[OKA] は岡さんのコメントです。
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[gaucho]
岡さんのデザインワークを拝見していると、洗練されたスタイルの中にも、
どこか日本的な伝統美のような落ち着きや安心感を感じます。特に、
exposision UZU Paris 1999
http://www.exprime.co.jp/uzu/
の作品とかを拝見すると、まさにそういった日本的な美しさが見事表現されて
いると思うのですが、それは以前参加されていた祇園祭絵図の絵起こしなどで
の経験が影響しているのでしょうか。
[OKA]
やはり、影響はありますね。グラフィックデザインというとどうしてもその目
は欧米を向きます。(私の場合は特に西欧でしたが....。)そんな私に日本の
美を再認識させてくれたのが、この経験でした。現在の祇園祭は伝統を残すと
いうところに意味を見出していますが、その歴史を紐解くと日本民族の柔軟な
発想が見えてきます。ポルトガル、ペルシャ、中国など世界中から集められた
美術工芸品を進んで取り入れ昇華し日本の祭りを構成していく、一見頑なに伝
統を守る様に見られがちな日本民族が実は非常に新し物好きで柔らかな感性を
持っていたことがわかります。
隣国と海で隔たれたある意味閉鎖的な環境と単一民族で構成される日本民族は
非常に確固たる基本思想を持っている。という話を聞いたことがあります。つ
まり、基礎が堅固なので、外部からの情報を取り入れても土台が揺らぐことな
く自由な発想で自分たちなりに加工することができるということです。
日本文化に独自の哲学思想が生まれなかったのもお互いの共通認識が根底の部
分で成熟していたため、改めて民族をまとめ、ひとつにする必要がなかったと
いう話も聞いたことがあります。
こういう素養はデザイナーにとって非常に重要なものです。基本がしっかりし
ていれば、どんなものでもデザインすることができます。私も最初はグラフィ
ックデザイナーで印刷物全般のデザインをしていました。現在はweb design
が仕事の大半を占めていますが、切り離して考えたことはありません。もちろ
ん各々の媒体で手法は変わりますし、技術も違います。しかし、『デザインす
る。』という意識は同じものです。構築してきた土台はなんら揺らぐものでは
ないんです。逆にそこがしっかりしているからこそ、和風であれ西洋風であれ、
静止画、動画、立体物と、どんなものでも『デザインする』ことができるのだ
と思います。
話が少しそれてしまいましたね。
強く影響を受けたもうひとつは、フランス人である妻と結婚し、フランス文化
を身近に感じるようになったことで逆に日本文化の持つ美意識を再認識したこ
ともあげられるでしょう。これらを自分の中で消化し、独自の文化圏を持つデ
ザインが生み出せればと日々考えています。
一本の線に頑ななまでに拘る職人的美意識と良いものは何でも取り入れ自分な
りに昇華させてしまう柔軟な感性。そこから生まれる日本の美には研ぎ澄まさ
れた美しい緊張感と遊び心があります。私もデザイナーとしてどこまで一本の
線に拘り続けられるか時間との戦いの中、常に意識しています。
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[gaucho]
exprimeの手掛けたプロジェクト
http://www.exprime.co.jp/works/
を拝見してますと、どれもそれぞれ内容に沿ったすばらしいサイトだと思う
のですが、WEBデザインをされる上で特に気を使われているのはどんな点で
しょうか。
[OKA]
まず、そのサイトのターゲットとなるユーザーのこと、さらにクライアントが
訴求したいと考えていることは何か?を理解すること。そして自分の心の叫び
に耳を傾ける。これは、どんなデザインを考えるうえでも同じですね。
表現力は無限ですが、どの媒体にも技術的な限界はあります。実は私JavaScript
どころかHTMLもまったく組めません。もちろんFlashもだめなんです。
exprimeのweb制作は完全分業で進めていますのでプロジェクトごと「企画」
「デザイン」「プログラム」の3人が中心になり、助け合いぶつかり合いなが
ら(衝突することの方が多いですが...。)常に最善を目指します。ディスカッ
ションすることで、互いの限界らしきものをおぼろげに知りながら少し無理を
言ってみる。技術の限界をデザインに持ち込みすぎないため、あえてこういう
仕組にしています。若いデザイナーのスタッフにはwebで可能かどうか?では
なく良いものかどうか?で判断するように言っています。大事なのは何を表現
したいかであって、何ができるか?ではないということです。
それから、根がひねくれていますので(デザイナーには必要な資質と自負して
おりますが....。)どこかいい意味で裏切りたいとも思っています。「webと
はこうあるものだ。」という意識とか流行とかね。スタイルにこだわらないと
いうのもそういうところにあると思います。あるフランス雑誌で私のことを
「カメレオン」のようなデザイナーと評されたことがあります。私としてはデ
ザイナーとしてこんな嬉しい評価はないと喜んだものです。対象が変わればデ
ザインも変化する。創り続ければ自ずと多種多様なものが生まれてくるのは当
然のこと。スタイルに固執し押し付けるのはナンセンスではありませんか?
後、常に新しいものを見ること。最新という意味ではなく、自分が知らなかっ
たものという意味です。例えば中世の絵画にも新しい発見があります。新しい
webデザインをするために今のwebサイトだけを見ていては世界が狭くなりま
す。大きく目を見開いて注意深くいろんなものを見る。そう心がけています。
目の前のマシンから離れることも大事です。アイデアを練る作業はマシンの前
ではあまりやりません。練ったアイデアを形にする。その時間だけマシンに向
かっています。(遊んでいる時もたまに向かっていますが...。)
exprimeは10時〜19時で会社を閉めてしまうこの業界では珍しい会社です。
もちろん徹夜もしませんし、土日も休みます。しかし、会社にいる時間以外は
ずっと頭でアイデアを練っています。これは、デザイナーという職業を選んだ
宿命みたいなものですね。(笑)
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[gaucho]
ビジュアルやカラーリングはもちろんのこと、特にインターフェイスの部分で
見せ方や実際の使いやすさが秀逸だと思うのですが、岡さんなりのWEBインタ
ーフェイスデザインの原則というか、ルールのようなものがあれば、少しお聞
かせいただけますか。
[OKA]
インターフェイスに関してはどれだけ使う人の身になれるか?というところに
尽きるでしょう。万人が快く使えるインターフェイスは存在しません。ターゲ
ットを少し絞れれば多少近くなります。「これが今流行のインターフェイス」
と押し付けるのではなく、同じ目線で使い勝手を考える事が大事ですね。
大学時代の恩師がよく言っていたことを思い出します。彼は貧乏な学生に対し
てたまには高級レストランで食事をしろと言うのです。そこに集う人々の嗜好
を知るにはその世界を知らなくてはいけない。その人々に受入れられるデザイ
ンを彼らの欲するものを知らなくてどうして発想できるのだ。ということでし
た。とかくこの世界にどっぷりとはまっている我々は新しく来た人々の知らな
いための苦労をないがしろにしがちです。しかし、そういう人にこそ使いやす
いインターフェイスが必要じゃないでしょうか。
使いやすいインターフェイスには良い編集が不可欠です。技術的なバックアッ
プも必要でしょう。それらをまとめあげる優秀なプロジェクトマネージャーも
大事です。最近のwebサイトは膨大な情報を有しています。今後さらにその傾
向は増していくでしょう。それらをナビゲーションしていくには、より多くの
優秀な「目」が必要になってくると思います。
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[gaucho]
東京証券取引所
http://www.tse.or.jp/
のサイトをはじめて見たとき、見事なまでにシンプルなトップページに正直
ちょっと驚いてしまったのですが、大量の情報を含んでいるこのようなサイ
トをまとめあげる場合、特に注意している点があればお聞かせいただけます
か。明確なサイト構造や階層設計がなされていないと、なかなかこここまで
シンプルには仕上げられないかと思うのですが。
[OKA]
おっしゃるとおりです。ここのサイト構造と階層設計、ターゲットを絞り込む
作業にexprimeの2人のスタッフが約1ヶ月かけて取り組みました。元々立ち
上がっていたサイトですので、基本的には新規コンテンツ制作よりも再構成に
力を注ぎました。その結果、ここを訪れるユーザーを大きく分けて三種類、ビ
ギナー、投資家、専門家に絞り、それぞれを個別にナビゲートしていく方針に
したわけです。ビギナーの欲しい情報も専門家にとっては必ずしも必要な情報
とはいえません。逆に専門家への情報はビギナーには理解しにくいものが多々
あります。それらを全て表示し、ユーザーに選択させるのか?あらかじめ発信
側で情報を絞り、必要と思われるものを厳選して提供するのか、我々は後者を
選択しました。必然的に階層は少し深くなっています。その階層構造で迷わな
いため、あらゆる手を尽くしています。ピクトグラムのサインによるナビゲー
ションもそのひとつですね。
大量の情報の中から自力で欲しい情報を探したいという人もいます。最近のポ
ータルサイトの構造はそういう人々には適していますが、すべての人がそうい
う考えではありません。かく言う私も細かいテキストが羅列された個性のない
ポータルサイトにはなかなか馴染めません。
デザイン的には日本を代表する証券取引所の顔ともいえるトップページにはイ
メージを伝えるインパクトが必要と考えました。中に入るとそのイメージを持
ちつつもよりシンプルなインターフェイスを心がけています。イメージを伝え
る。情報を伝える。気持ちや安心感を伝える。「伝える」という観点から見れ
ばデザインは究極の機能美とも言えますね。
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[gaucho]
exprime edition France
http://www.exprime.co.jp/exef/
でもご紹介されているよう、フランスとの文化的交流を熱心にされていたり、
岡さん自身もパリで個展をされたりと、フランスとのつながりが深いと思うの
ですが、フランスのデザイン事情のようなものを少しご紹介いただけますか。
[OKA]
妻の実家がパリにありますので、よく行き来するのですが何もかもが素晴らし
い町です。(いやなこともあるんですけどね、道端に平然と落ちている犬の糞
とか....。)本物に出会える町という感じがします。デザインに関してもそう
です。街角で配られているチラシまで、洗練されたデザインがされている。
どうしてだろう?そのわけは仕事をし、展示会をすることでわかってきました。
それは、誰もが見る目を持っていること。受け手の見る目が厳しければおのず
と作り手の緊張感は増します。舞台に立つ芸人は客に育てられるといいます。
ちょうどそんな感じでしょうか。
妻の甥っ子(7歳)は、よく日曜日など母親に連れられてよくルーブル美術館
に行きます。ただ、絵を見るのではなく、その背景にある歴史や宗教的意味な
どを少しずつ聞きながら、時間をかけて見ていきます。妻も小さいころそうだ
ったようです。すべての人がそうではないそうですが、最近まで美術館は日曜
日無料で入館できたそうですし、町自体が美術館のようなパリでは、自然と目
が肥えていくんでしょう。
昨年、パリで開催した展示会でもアートに対する真剣な姿勢が感じられてとて
もいい経験でした。ああいう心地よい緊張感は残念ながら日本ではあまり得ら
れないですね。
仕事に関してもかなりシビアです。ちょっとでも手を抜こうものなら、すぐ見
破られ指摘される。ごまかしの効かない真剣勝負です。逆に、いいものをあげ
れば、諸手をあげて評価してくれる。いいものは良い。悪いものは悪いと自分
の目で判断できる。あたりまえの事なのですが気持ちいいですね。
ちょっとデザイン事情から外れてしまいました....。
今年も、11月にパリで行われる「コンテンポラリーアートフェア」に参加しま
す。面白い話も拾ってこれられるでしょう。また、機会がありましたらお話し
たいですね。
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[gaucho]
あと、9月にグループ展を開催されているとのことですが、内容について少し
教えていただけますか。
[OKA]
はい。では、ご紹介させていただきます。
『ecole buissonniere展』(エコール・ヴィソニエ)
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ecoleはフランス語で『学校』(エコール・ド・パリとか)
buissonniereは『道草』
タイトルが意味するように各方面で活躍する5人の作家が自分の仕事とは離れた
新境地を見せるというコンセプトで展開するグループ展です。1ヶ月という長い
会期ですので、後半は、さらに5人を加えた10人展になります。
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●会場
ダブルクロック渋谷 1F (渋谷駅徒歩5分)
渋谷区渋谷3-10-13 tel.03-3797-0621
URL:http://www.exprime.co.jp/ecolebuiss/ (1ページだけですけど)
Map:http://www.koyosha-inc.co.jp/wclock/map/sibuya/sibuya.html
●期間
9月1日(金)〜30日(土)期間中無休24時間開催!
9月1日〜15日 5人展
9月15日〜30日 5人+5人の10人展
前半は発起人の5人展、後半はさらに5人を加えた10人展となります。
(私は発起人の一人ですので全てに参加します。)
●参加メンバー
niwako,Tat-su-yao,ヌル・さんぞ〜・ポン,mocha,部乃方ベカ夫
(実は全員偽名
(ペンネーム)での展示です。特に隠している訳ではないですが...。)
ちなみに私は『Tat-su-yao』、今回は妻のmaiaも参加します→『mocha』
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[gaucho]
本日は、貴重なお話を聞かせていただきありがとうございました。
[OKA]
いえいえ、こちらこそありがとうございました。
なんか、ちょっと堅苦しい話になってしまいましたね。(おまけに長い)
[gaucho]
かなり読み応えありました。
11月の「コンテンポラリーアートフェア」のお話も、また機会があればお聞
かせいただければ幸いです。では。
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★ Tatsuya OKA 関連サイト
┣「exposision UZU」http://www.exprime.co.jp/uzu/
┗「exprime」http://www.exprime.co.jp/
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『GREAT WEB CREATORS』
海外で注目されているWEB制作会社の紹介
「Juxt Interactive」http://juxtinteractive.com/
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今回は、アメリカのWEB制作会社「Juxt Interactive」をご紹介します。
「Juxt Interactive」は、その独特の色調とタイポ使いが印象的な個性的サ
イトを数多く手掛けています。また、FlashやDHTMの使い方も見事です。
以下、手掛けたサイトをいくつか列記します。
★「Juxt Interactive」の主な制作サイト
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◆ MCY.com
┗ http://www.mcy.com/splash/english/
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◆ Prudential Lighting
┗ http://www.prulite.com/
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◆ Kimball Hall Photography
┗ http://www.kimballhallphoto.com/
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◆ Lundstrom and Associates
┗ http://www.lundstromarch.com/
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◆ Shorn.com
┗ http://www.shorn.com/
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◆ OmniSky
┗ http://www.omniskywireless.com/
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◆ Juxt Interactive
┗ http://juxtinteractive.com/
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『編集後記』
「MdN/10月号」
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MdN/10月号/ウェブデザイン・カプセル
┣ http://www.MdN.co.jp/Wdesign/WDC/
┗ http://www.MdN.co.jp/Wdesign/WDC/06/
にて、「GAUCHOサイト」を紹介していただきました。
書店にて覗いていただければ幸いです。
次回発行は、10月11日(水)の予定です。
最後までご覧になっていただき、誠にありがとうございました。
====== WEB DESIGNERS MAGAZINE 『GAUZINE』 ==========================
発 行 G A U C H O [ http://www.gaucho.com/ ]
編 集 尾崎 英明 [ mailto:gaucho@hal.ne.jp ]
登録・解除 [ http://www.gaucho.com/gauzine/home.html ]
メッセージ [ http://www.gaucho.com/cgi-bin/gauzine/im_bbs.cgi ]
Copyright(C) 2000. GAUCHO. All rights reserved.
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